萌豚日記

映画/小説/漫画/アニメ/ゲームの感想と忘備録

君の名は。における入れ替わりの時系列と整合性

先日「君の名は。」の4回目の劇場鑑賞をしてきました。これ半券7枚集めると女子高生に転生できるとかそういう特典無いんですかね?無い?現実は非情である。

 

というわけで4回劇場に足を運ぶまでにハマってしまったのですが、見返す内に作中の日付がやや気になったので軽く考察をしてみます。ネタバレを多分に含(以下略

ではまず作中で明記されていた時系列の整理から。

9月上旬    入れ替わり開始

9月5日   三葉の入れ替わり1回目(2013年は木曜、2016年は月曜)

9月7日   三葉の入れ替わり2回目(2013年は土曜、2016年は水曜)

9月9日   三葉の入れ替わり3回目(2013年は月曜、2016年は金曜)

9月12日 三葉の入れ替わり4回目(2013年は木曜、2016年は月曜)

9月13日 二人がお互いの入れ替わりに気づく

となっており、二人とも同じ日付に入れ替わりの日記を記していることから、おそらく日付基準で同日に入れ替わりが起きていることが推測されます。9月12日には三葉(瀧in)がデッサン中に机を蹴倒す事件が起きており(三葉のスマホ中の日記より)、翌日も三葉が登校していることから12,13日ともに平日であることが求められますが、これにも合致しています。ただし、最初の瀧in糸守の時の三葉in東京の描写がなく、劇中で初めて描かれる三葉in東京の入れ替わりが最初の瀧in糸守を受けて(「お前は誰だ?」の走り書きを見てから)のものであるため、二人の主観的な時間軸がどうなっているかは謎です。

 

初回  瀧。三葉へと入れ替わり。ノートに「お前は誰だ?」の走り書き

    三葉。瀧へと入れ替わり。描写なし。記録、外部との接触おそらくなし

二回目 瀧。三葉へと入れ替わり。日記を残す

    三葉。瀧へと入れ替わり。初回を受けて掌に「みつは」と記す

三回目 瀧。三葉へと入れ替わり。腕全体に「みつは?お前は何だ?」の伝言

    三葉。瀧へと入れ替わり。日記を残す

なのか、

 

初回  瀧。三葉へと入れ替わり。ノートに「お前は誰だ?」の走り書き

    三葉。瀧へと入れ替わり。上を受けて掌に「みつは」と記す

二回目 瀧。三葉へと入れ替わり。腕全体に「みつは?お前は何だ?」の伝言

    三葉。瀧へと入れ替わり。描写なし

なのかはいまいち判然としません。ただし後者ですと入れ替わり一回分前の瀧の身体へと三葉の精神が日付を逆行することになりますので、おそらくは前者でしょう。

 

続いて物語が動きだす、三葉(瀧in)のお神酒奉納シーン以降の時系列が以下です。

 

10月2日

(水)三葉(瀧in)、ご神体へ登山

(日)瀧(三葉in)、瀧への厳選リンク集を記す(デート中のスマホ画面より)

10月3日

(木)三葉、東京へ行く(10月4日の四葉の台詞より)

(月)瀧、デート。彗星を探すが夜空には満月のみ

10月4日

(金)三葉、学校を休む。秋祭り。彗星落下(彗星落下事件の記事より)

 

彗星は数日に渡って見えることが普通ですので、上記の期間中ずっと観測されていたことは別段おかしくはないかと思います。2013年10月3日に関しては三葉が四葉に東京行きを告げるシーンが登校中のため、平日で間違いないでしょう。テッシーの電話より10月4日も同様に平日だと推測できます。

問題になってくるのは平日に日中から登山した宮水一家と、同じく平日にデートを敢行した瀧&奥寺先輩カップルです。

やや強引ですが、10月2日のご神体への奉納は神事として学校を休んだとしましょう。10月3日が休校になる理由はいくつか考えられますが(都民の日や体育祭・文化祭の振替など)、奥寺先輩や展望台の人の様子から休日であると推察されるので、やはりここは設定ミスが原因でしょうか。都民の日も土曜なら振替ないのが普通ですしね。

設定ミスといえばもう一つ。奥寺先輩とのデートの後夜空の満月が画面に写されますが、月齢を考えると2016年10月3日は新月の翌々日なので2週間ほどズレが生じます。また、2013年10月4日の夜は彗星の横に三日月が見えますが、これも2013年10月5日が新月ですので矛盾が生じます。こちらに関しては、特定の月の表情を見せたいという演出ありきで考えるならば仕方ないことかと思いますが……

 

また個人的な解釈ですが、三葉(瀧in)がご神体登山の日に制服を着てしまったシーンや、三葉が瀧と奥寺先輩のデートに思いをはせ涙を流すシーンは平日と休日のズレを暗喩するものかと思います(後者については「瀧くんを好きになっていたから」との理由もあるかと思いますが、対となる瀧が無意識に涙を流すシーンは「彗星」と聞いて入れ替わりの不自然さに気づきかけるシーンであるため)。ですのでやはり曜日からすると2013年10月2日、および2016年10月3日は休日であると思っておく(思い込む)ことがリーズナブルな解釈かと。

 

因みに2013年と2016年の10月で無理のない設定を考えるとすると以下のようになります。

10月14日

(月)体育の日。三葉(瀧in)、ご神体へ登山

(金)瀧(三葉in)、瀧への厳選リンク集を記す

10月15日

(火)三葉、東京へ行く

(土)瀧、デート。彗星を探すが夜空には満月のみ

10月16日

(水)三葉、学校を休む。秋祭り。彗星落下

この日程ですと、三葉(瀧in)がご神体登山の日に制服を着てしまった(=平日と勘違いした)こと、三葉が入れ替わりの不自然さを無意識下で感じ涙を流したことの説明もつきますし、2016年10月は16日が満月なので15日に瀧が見上げた月とほぼ一致させることが出来ます。2013年10月16日は三日月ではないのでこちらを整合させることはできませんでしたが。

作中あれほどまでに「10.4」が出てくるので何かしらの強い理由があって日付を設定しているとは思うのですが……

 

結論として言えばちょっと脇の甘さを感じる日付設定なのかなあ、と思わざるを得ません。しかし当然のことながら、私の気づいていない理由によって上記の日付を設定した可能性が十分あります。複数回見る方はこういった時系列や作中の日付にも目を配り、なぜこの日付を設定したのか考察してみると面白い発見があるやもしれません。

万が一設定ミスであったところで、この映画の素晴らしさが1mmたりとも減衰する訳ではないと考えておりますのであしからず。SFを楽しむ映画でもないですし、細々とした設定に気を配らず、二人の甘く切ない夢に酔いしれるのが大正解でしょう。

 

<了>